レビー小体型認知症の「3大症状」(幻視/パーキンソン症状/認知の変動)の1つを見てみましょう。
「認知症でも、しっかりしてる時もあるんです。調子が悪い時は、ボケてるように見えますけど、調子が良い時は、ごく”普通”です」
レビー介護家族の口からよく聞く言葉です。
この「波」は、アルツハイマー病など他の種類の認知症にはないレビー小体型認知症特有の症状、「認知の変動」です。
この変動は、規則的に起こらないため、生活のリズムを整えたり、外出などの予定を立てることが難しくなります。
調子が良い日が続いているからと遠出を計画すると、当日、調子が悪くて行けない、ということがよく起こります。
いつ切り代わるかは、家族にも医師にも予測ができません。
では、小坂憲司医師の「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」という本に書かれた症状説明を読んでみましょう。
1. 認知(機能)の変動(動揺) (P.80〜82)
「幻視」「パーキンソン症状」と並ぶ「レビー小体型認知症の3大症状」。
認知機能(知的能力)に波がある現象。
原因は、はっきりしないが、脳幹綱様体(覚醒と睡眠に関わる脳の部位)の障害が関係していると考えられる。
具体的には、頭がはっきりしている状態(良い時)とボーッとしている状態(悪い時)が入れ替わる。
1日の中で繰り返すこともあれば、1週間、1ヶ月ということもあり見逃されやすい。
(認知機能が低下した時の様子)
*話し掛けても反応が乏しい、言葉が出ない。
*動作がにぶい。
*包丁、歯ブラシ、リモコンなどが上手く使えない。
*眠ってばかりいる。
*見間違い(錯視)が増え、相手や場所がわからなくなったりする。
*空間の位置関係や物体との距離に見当をつけることが困難になる。
低い状態で知能検査を行うと著しく点数が低くなる。
認知機能が高い状態の時は、よくしゃべったり、活動的になったりする。
過剰な場合は、怒りっぽくなる例もある。
追記byしば:母は、レビーと診断される随分前からこの症状がありました。
顔を見れば、すぐ分かります。悪い時は、目に生気がなく、無表情、無口。
何かを伝えても反応がないので、理解しているのかどうか判断できません。
車の駐車ができず、車がへこみや傷だらけだったことを思い出します。
変動は本人も自覚をしているようです。最近、母が自ら語った言葉です。
「悪い時は、嫌なことばかり考える。眠くなる。誰とも話したくない。体が重くて、何もしたくないし、考えたくない。良い時は、気持ちも明るくなる」
2. 過 眠 (P.85〜86)
夜間十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中眠りに陥ってしまう症状。(昼夜逆転とは異なる。)
実際には昼寝しない場合でも、日中「眠くてしかたない」と訴える例は非常に多い。
原因はわからず、治療法も見つかっていない。
抵精神病薬や抗パーキンソン病薬などによる副作用という場合もあり見極めが必要。
追記byしば:介護家族からは、「いつも眠そう」「食事の途中でも眠ってしまう」と聞いたことがあります。
「レビー小体型認知症では、原因不明の意識消失発作(失神)が起こることがあります。(河野和彦著『コウノメソッドでみる認知症診療』P.42)」
「また寝ていると思ったら意識がなかった」
「また気絶していると思ったら脳梗塞だった」ということもあり得ます。
「いつものこと」と放置せず、注意していましょう。
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*「若年性レビー小体型認知症患者本人が語る症状」(幻覚と認知の変動)
*「レビー小体型認知症の特集記事(朝日新聞)」(詳しいです。)
*カテゴリ:「レビーと各種認知症の症状と早期発見チェックリスト)」
*カテゴリ:「レビー小体型認知症認知症について」