レビー小体型認知症の診断は、専門医でも非常に難しいと言われています。
< なぜでしょうか? >
(小阪憲司著「第二の認知症」から主に引用。ページ数示す。)
<理由その1> 口答の知能テストでは、高得点を取る方がいる。
特に初期の場合、記憶力の低下が、ほとんどない方がいます。P.77
レビーは、「物忘れ」よりも「注意力の低下」が目立つ病気です。
長谷川式簡易知能評価スケール(「猫、桜、電車」等と言わせるテスト)では、計算を間違いやすいという特徴があります。
それは計算能力の低下ではなく、注意力の低下の結果です。
<理由その2> CTやMRIの画像に、脳の異常が出ない。
脳の萎縮は少なく、脳血管性認知症のように梗塞や出血の跡もありません。
「年相応で異常がない脳」は、レビー小体型認知症の特徴です。
(但し、海馬の萎縮が見られるタイプもある。)P.111
<理由その3> 脳血流検査(SPECT)でも異常が見つからない方が。
レビーでは、後頭葉の血流低下(=機能低下)が特徴ですが、正常と診断される方も30%程度います。P.113(参考論文—記事の脚注に—)
<理由その4> MIBG心筋シンチグラフィでも1割の例外がいる。
現在、この検査が最も精度が高いと言われています。しかし10人に1人は、この検査でも異常が見つかりません。90%の精度でしかないのです。P.116
<理由その5> 特徴的な症状が出ない方もいる。
パーキンソン症状、幻視、うつ、起立性低血圧(立ちくらみ)、頻尿など、
レビー特有の症状が(初期・中期に、或は最後まで)出ない方もいます。
(P.66他)
<理由その6> 認知症は、合併が多く、症状は個人差が激しい。
アルツハイマー型、脳血管性、前頭側頭型(ピック病)など他の認知症を合併している方も少なくありません。症状が混ざり合い、より複雑になります。
(久山町の調査から)
< そのために、誤診が大変多いのです。>
例:「検査の結果、異常はありません。認知症ではありません」
例:「アルツハイマー型です/脳血管性です/うつ病です。等々」
「レビーの可能性大だが、この結果からは診断できない」と言われた方も。
< 診断基準は、医師によっても違います。>
症状のみから診断する医師、心筋シンチグラフィで異常がないので「レビーではない」と誤診する有名な大病院の医師等、様々です。
認知症専門病院、専門外来、専門医でもレビー小体型認知症をよく知らない医師はたくさんいますので、医師を選び、その医師宛(病院宛ではなく)の紹介状を書いてもらいましょう。
しかし今、多くの大学病院などで、診断だけは、概ねできるそうです。
< が、診断と治療は、また別の問題です。 >
有名な大病院で「レビーに治療法なんてありませんよ」と実際に言われた方がいます。(治療法は、あります。)
診断はできても、治療については、よく知らない医師が、大病院にも少なくないことが、大勢の介護家族の方のお話から分かります。
< では、家族はどうすれば良いのか? >
レビー小体型認知症という病気について、治療について、
家族自身が、学んで自衛するしかありません。
それほど難しいことではありません。
無数にある病気の中から、たった1つの病気について知るだけです。
無数にある薬の中からリスパダールなど「絶対に飲ませてはいけない薬
(しかし多くの医師が知らずに処方する)」を何種類か覚えるだけでも
悪化という事態は、家族が自分で防ぐことができます。
治療にあたって、医師との良い付き合い方については、次回に。
<関連記事>
*なぜ認知症は誤診されるのか(久山町の調査)合併の患者の多さ
*認知症を悪化させる薬の処方(新聞記事)(リンクで危険な薬一覧)
(MRI、脳血流検査、心筋シンチグラフィの全てに異常が見られなかった例)